音楽配信サイト「Bandcamp」が運営する音楽メディア「Bandcamp Daily」にて、『Lumines Arise(ルミネス アライズ)』サウンド制作を担当したHydelic and Takako Ishidaのインタビュー記事(英文)が公開されました。

「共感覚(シナスタジア)」体験の最新形である『Lumines Arise(ルミネス アライズ)』において、彼らはいかにして音楽を用いて没入感の境界を押し広げたのか、制作の舞台裏やサウンドデザインへの哲学、そして「プレイ体験と音楽が溶け合う瞬間」の構築についてを深く語っています。

本ニュース記事では、特別許可の元、日本語全文をお届けします。ぜひご覧ください。

記事全文(英語)はこちら:https://daily.bandcamp.com/features/hydelic-takako-ishida-lumines-arise-interview

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Lewis Gordon

パズルゲーム『Lumines Arise(ルミネス アライズ)』は、ある種『テトリス®』に似ている。画面上から落ちてくるブロックを消していくという基本ルールは共通しているが、決定的な違いがある。それは、ブロックが音楽のビートに合わせて脈動し、まるで電子的な昂揚感の渦中にいるかのような感覚をプレイヤーに与える点だ。

本作のブロックを操作すると、まるでSEとは違う「音」自体を奏でる。最初のレベルでは、ブロックをグリッド上で移動させるたびに木製楽器のような柔らかな音が響き、ドロップさせれば、パーカッシブで心地よい打撃音が鳴り響く。画面全体が微かに震え、ざわめき、鳥のさえずりのようなヴォーカルが多幸感あふれるシンセサイザーの上で踊り、深いキックドラムがリズムを刻む。その光景は、極めてサイケデリックな体験へとプレイヤーを誘う。


この野心的なパズルゲームに情緒豊かな息吹を吹き込んだのは、Hydelic(ハイデリック)の名で活動する武藤昇と、石田貴子の二人。2010年代半ばから、二人は東京を拠点とするエンハンスにおいて、著名ゲームクリエイター水口哲也のゲーム作品でサウンド制作を行っている。

『Rez Infinite』、『テトリス® エフェクト・コネクテッド』といったプロジェクトを通じて、彼らの音楽とサウンドデザインは、万華鏡のような映像とパズルアクションを増幅させ、プレイヤーの精神を「受容的な至福」の状態へと沈み込ませる、唯一無二の多感覚体験を作り上げてきた。

彼らが掲げる大きな音楽的目標は、一種の‟人工的に誘発された共感覚(シナスタジア)”の創造だ。武藤は、「音がイメージを喚起し、視覚が音を感じさせる。そのような体験を作ることです」と説明する。しかし、これほど強烈な感覚反応を促すのは容易ではない。石田はこうしたゲーム制作には、通常の音楽制作よりも包括的な視点が必要であることを強調する。「私たちは常に、音楽、ビジュアル、そしてゲームデザインの核心にある溝を埋め続けているのです」

例えば、『Lumines Arise』にある食べ物をテーマにしたステージ「Slice & Dice」を見てみよう。ブロックは最初、リンゴやライムの形で、クイックドロップをすれば弦楽器が鳴り、ブロックを回転させればカトラリーが触れ合う金属音が響く。ブロックを消すと、誰かが楽しげにフルーツをかじる音が聞こえてくる。やがてリンゴやライムはトマトやキャベツ、ピーマンやブロッコリーへと姿を変え、フェーズが進むにつれて、楽曲は複雑さを増していく。

赤や緑の粒子が背景で舞い、羽のように軽いオーケストラ・トラックへと花開いていく様は、不気味なほどに魅惑的だ。音と映像が互いを高め合い、没入感が無限にループするような感覚を作り出している。

本作のジャンルは、淡いジャズから未来的ニューエイジ、さらには煌びやかなハイパーポップまで多岐にわたるが、その根底にあるのはクラブミュージックだ。『Dreamland』は欧州のハードスタイルを彷彿とさせ、『1999』はビッグビートを軸にしている。

また、『テトリス エフェクト・コネクテッド』の楽曲「Pulse」では、武藤はミニマル・テクノの旗手Ricardo Villalobosのような、神経を研ぎ澄ますパーカッシブなワークアウトを再現した。

新潟の静かな環境で育った武藤は、10代の頃にレンタルCDで電子音楽に出会った。The Chemical Brothersの風変わりなダンスミュージックや、Jeff Millsの圧倒的なテクノに心酔したという。「DJプレイ中のあの素早い変態的な動きが最高で永遠に見ていられます。他にも、Fatboy Slimや、また Oasis、Blur、Pixies といったロック勢、さらには Regina Spektor、Hudson Mohawke、DJ Shufflemaster、Radiohead、The Monkees、DJ Shadow、Tommy Guerrero……。これらのジャンルを問わず、夢中で繰り返し聴き込んできたアーティストたちのエッセンスが、きっと今の制作にも繋がり、インコもノリノリに踊ってくれる曲ができたのだと実感します」と武藤は語る。

武藤が90年代に音楽的覚醒を経験して間もなく、友人が「テクノのゲーム」という奇妙なものを見せてくれた。それが、後に出会う水口が2001年に手がけたレールシューター『Rez』だった。最先端のクラブサウンドを取り入れたそのゲームは、彼がそれまで聴いたことも、プレイしたこともない代物だった。

「当時の日本において、テクノはまだ非常にアンダーグラウンドなシーンで、テレビやラジオで流れることはほとんどなかった」と武藤は振り返る。彼と友人たちは、これほど破壊的な音楽をゲームに導入する度胸のある人物の感性を想像し、熱狂した。水口を異端のゲームデザイナーと見なした彼らの直感は正しく、水口は驚くほど多様な背景から影響を受けている。

『Rez』の着想源の一つは、90年代後半のチューリッヒで開催されていた、欧州最大のテクノ・ストリートパーティー「ストリート・パレード」。水口はかつて、その力強いサウンドが身体の動きや光と融合し、それらが同期し、一体となることで生まれる「化学反応」の心地よさについて語っている。

水口はキャリアを通じて、音、映像、身体の統合されたアプローチを追求し続けてきたが、『Lumines Arise』では、想像を絶するほどに美しく、圧倒的な表現の高みへと進化を遂げた。

JOURNEYモードのステージ「On Eggshells」では、ブロックが卵や羽として描かれ、その上を小さなヒヨコが跳ね回り、ブロックを操作すると、断片化されたピアノがドラム&ベースの上で激しく鳴り響く。

石田によれば、最初の作曲はプロセスの一部に過ぎないという。彼女はこの攻撃的なトラックを通じて「怒り」の感情を呼び起こしたいと考え、プレイテストを繰り返しながら無数の調整を行った。「素材がある程度できてからは、実際に音を組み込んでゲームを触りながら調整をしています。見た目からの印象、ゲームをプレイするときの印象なども加わるので、音だけだと気づかないことも細かく調整する必要があります。

『Lumines Arise』の最も魅力的な側面は、その圧倒的なオーディオ・ビジュアルの勢いを超えて、プレイヤーを「演奏者」であり「作曲家」でもあるかのように仕向ける点にあるだろう。音楽に合わせてブロックを回転・落下させ、ゲームのリズムと一体化することは珍しくない。「BURST」と呼ばれるパワーアップ・メカニクスは、この体験にさらなるひねりを加える。巨大なスクエアを構築する間、トラックは背景へと退き、ドラムの強度が次第に高まっていく。スクエアが大きくなり……そしてシュッという音と共に心地よく弾けて消える。その瞬間、音楽は歓喜に満ちたクラブ仕様の「ドロップ」として帰還する。これは8小節のブレイクダウンに相当する音楽的演出であり、そのタイミングとダイナミズムを決定するのはプレイヤー自身なのだ。

武藤は、このBURSTの瞬間を「ビルドアップ(build up)の要素を入れて、フェスやライブコンサートにいるような、最高にエキサイティングなものを目指した」と語る。それは、サウンドトラック全体が目指す「形のある肉体性」の反映でもある。「音の空間配置や方向性を極限まで追求しました」と彼は言う。「例えば、ヴォーカルをセンターに置く標準的な手法ではなく、重いローパスフィルターをかけて、深い霧の中から声が浮かび上がってくるような感覚を作り出す。あるいはステレオ音場をアグレッシブにパンさせることで、音楽をデジタル空間を飛び交う物体のように感じさせることができるのです」。その結果、音楽は単なる「静止したトラック」ではなく、プレイヤーが肌で感じられる「物理的な実在」へと変貌を遂げる。

武藤と石田の「音を通じて空間や触覚、あらゆるイメージを喚起したい」という情熱が詰まった『Lumines Arise』のサウンドトラックは、至高の技術的魔術の結晶だ。しかし、このゲームはもっと根本的なレベルでも機能している。つまり、ダイレクトに「感情」に訴えかけてくるのだ。武藤は特に、浮遊感や多幸感を育む情緒的なメロディに惹かれている。そして石田は、常に「何が心を動かすのか」、そして「国境や時間を超えるのはどのような音か」を考え続けている。

終盤のあるレベルは、彼らのスタイルを完璧に象徴している。おもちゃ箱のようなメロディが電子ビートに合わせて鳴り響き、宇宙のような背景の中で神秘的なクジラが舞う。ある種の人々にはセンチメンタルすぎるかもしれない。だが、そこに至るまでに『Lumines Arise』が見せてきた旅路は、そんな星空を見上げるような感傷に浸る権利を、十分にプレイヤーへと与えてくれているのだ。

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